職場の飲み会に久しぶりに参加。
そして飲み会後はきまってブルーな気分になる自分・・・
コミュ下手なうえ周囲に気を遣いすぎて疲れてしまい、楽しむどころではないんですよね。
だから飲み会は苦手です。

ブルーな気分から抜け出せず、ブログの更新もなかなか進みません。
いけない、いけない(-_-;) 
気を取り直して、今回は労働組合法です。

今年度の社労士選択式試験でも出題された労働協約の効力について、さらっと確認してみましょう。

労働協約とは?労使協定とのちがい

労働協約とは、「労働組合」と「使用者」との間の団体交渉で合意した労働条件などの内容を、書面にしたものです。

労使協定とちがう点の1つが、締結の当事者!

労使協定締結の一方の当事者が「労働者の過半数が加入する労働組合または労働者の過半数を代表する者」であるのに対し、
労働協約では、あくまでも「労働組合」が当事者なのです。

そして労使協定の効力がその事業場の労働者全員に及ぶのに対して、労働協約の効力が及ぶのは、原則「労働組合員のみ」。

また労使協定などは、署名・押印不要(いわゆるはんこレス)となりました。が、
労働協約は両当事者が署名または記名押印して初めて効力が生じます。
細かい点ですが、要注意ポイントです。

労働協約の有効期間に注意

労働協約の有効期間にも要注意です。

労働協約には、3年を超える有効期間の定めをすることができません。

もしも3年を超える有効期間を定めてしまったときは、3年の有効期間の定めをした労働協約とみなされます。

これに対して有効期間の定めがない労働協約は、当事者の一方が、署名または記名押印をした文書で予告して解約することができます。
(少なくとも90日前に予告することが必要。)

3年を超える有効期間を定めてしまった労働協約と、有効期間の定めがない労働協約のちがいも、おさえておきたいポイントですよね。

ちなみに労使協定は、有効期間の定めが必要なものとそうでないものがあります。
36協定や変形労働時間・みなし労働に関する労使協定は、有効期間の定めが必要ですね。

労働協約の規範的効力と一般的拘束力

労働協約に違反する労働契約は、その違反する部分は無効となります。
労働協約の基準に達しない部分が無効になるのではありませんので、注意しましょう。

労働協約違反のため無効となった部分は、労働協約で定める基準が適用されます。

これを、労働協約の規範的効力といいます。

ところで、労働協約の効力が及ぶのは、原則「労働組合員のみ」です。
ただし、1つの事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の労働者が1つの労働協約の適用をうけることになったときは、同じ事業場に使用される非組合員である同種の労働者にも規範的効力が及びます。

これを労働協約の一般的拘束力(拡張適用)といいます。

非組合員の労働条件が労働協約よりも有利なときは?

ここで問題になるのは、非組合員の労働条件の方が、労働協約で定める基準よりも有利な場合です。

この場合でも非組合員に労働協約の規範的効力が及び、不利な労働条件が適用されてしまうのでしょうか。

このようなケースでの一般的拘束力が争点となった判例があります。
今年の社会保険労務士の選択式試験でも出題された「朝日火災海上保険(高田)事件」。

この事件の概要です。 ↓

「XさんはもともとA社の従業員でしたが、A社の業務がB社に引き継がれたためB社に雇用されました。その後、B社と労働組合の間でA・B両社の労働条件を統一に関する労使交渉が続けられた結果、定年年齢と退職金の支給率が引き下げられる旨の労働協約が締結されました。
Xさんは非組合員でしたが、労働協約の規範的効力が非組合員にも及ぶという一般的拘束力を理由に、既に引き下げ後の定年年齢に達していたXさんの労働条件がさかのぼって変更され、減額された退職金が支給されました。
このためXさんは、改定前の支給率による退職金の支払いを請求しました。」

この事件の判旨は、次のようなものでした。 ↓

「労働組合法で労働協約の規範的効力が非組合員にも及ぶ旨の一般的拘束力が認められている趣旨は、事業場内の労働条件を統一し、労働組合の団結権の維持強化と事業場内の公正妥当な労働条件の実現を図ることにあると解される。
その趣旨からいっても、未組織の労働者の労働条件が有利だという理由で、労働協約の規範的効力が未組織労働者には及ばないとすることは相当ではない。
ただし、労働協約を特定の未組織労働者に適用することが著しく不合理であると認められる独断の事情があるときは、労働協約の規範的効力を当該労働者に及ぼすことはできない。」

つまり、労働条件が不利になる場合であっても、非組合員に対して労働協約の規範的効力が及ぶことがある。
ただし、特定の未組織労働者にとって著しく不合理であると認められる特段の事情があるときは、当該労働者に対して規範的効力は及ばない

ということですね。

今年の社労士選択式試験では、「規範的効力」と「著しく不合理である」という選択肢が正解の穴埋め問題だったので、この判例を知らなくても正答できた方も多いかもしれません。

でも過去問で一度もお目にかからなかったこの労働判例が、今年の本試験で出題されたこと、しかも組織率が低下しているこのご時世で「労働組合法」が取りあげられたということで、私の中では印象に残る判例となりました。

社労士試験は、とにかくテキスト全般をもれなく読み込むことが大事ですね。
今日もおつかれさまでした( ^^) _旦~~


最後までお読みいただき、ありがとうございました。