リーダー職なんて自分には務まらない、と思っている方に読んでほしい本です。

私が抱いていたリーダーのイメージは、カリスマ性があり、頭が良く、いつもベストな提案ができる人。
常に組織の先頭に立って、メンバーをリードできる人。

私にはでもこの本を読んで、そんなイメージが180度変わりました。

「任せるコツ」(著者:山本 渉さん)

今の会社に就職して35年目。
リーダー職の経験は、ありません。

これまで上司から、リーダー職を勧められたこともないわけではなかったのですが・・・
やんわりとお断りしてきました。

もともとコミュ下手で不器用な私。
リーダーに向いていないことは、自分が一番よくわかっています。

でも最近読んだ本「成長の技法」(著者:田坂 広志さん)に、
「能力開発という視点から見たとき、最も怖いのは『そもそも自分は〇〇は向いていない』と、自己限定をしてしまうこと。
それは、そのまま、自分の性格や人格の幅を狭めてしまい、結果として、能力や才能の幅を狭めてしまう」
という趣旨のことが書かれてあったのです。

そうか。
私は自分で自分の能力や才能を、狭めていたのか。

人として成長していきたい、という思いはある私。
だったらリーダー職になることも、自分を大きく成長させることにつながるかもしれません。

そこで、リーダーの心得とかチームマネジメントを学びたいと、本を読んで勉強することに。

そうして出会った本が、この「任せるコツ」です。
組織のリーダー職にある方や、これからなる予定の方に、一度は読んでいただきたい本です。

リーダーは、メンバーの成長を信じて任せること

タイトルに「任せるコツ」とありますが、どちらかといえば、部下を成長させ、組織力を高めるために、リーダーは何をすべきかということを、教えてくれる本です。

リーダーが実践すべきことが具体的に示されていて、とてもわかりやすいです。

ここで、その内容の一部をご紹介します。

 *    *    *    *

優れたプレーヤーだった人ほど、リーダーになっても「自分でやった方が早い」となりがち。

でもそれは、部下の育成を放棄していることにほかならず、リーダーとしては失格。
メンバーの成長の機会を奪い、結果、組織力も弱めてしまうことになります。

リーダーはメンバーの力を信じて、仕事を任せることが大切。
人は必ず、成長するものだから。

そして仕事を任せたら、口出しはしない。
失敗を避けるために、先回りしてあれこれ言いたくなるかもしれないが、そこはぐっと我慢。
成長するためには、失敗することも必要なのです。

「失敗させること」こそ、最高のマネジメントなのだそう。

仕事の任せ方にもコツがあります。

仕事を任せる前に、リーダーは、メンバーの人となりを把握しておくべき。
面談などでその人となりを知り、プロフィールなどを覚えておくか記録しておくと、それはマネジメントとしての資産になります。

どんな仕事を任せるか。
それは、メンバーの意欲、適性を把握したうえで、「相手がやる気になるか」の視点で考える。

本人の意欲と適正が、任せる仕事とマッチしていることがとても重要です。

さらに、メンバーがその仕事を「やってみよう」と思ってくれるためには、依頼する側がその意欲をつくりだす必要があります。
そのためには「感謝される」「褒められる」「自分しかできない」の3つがポイント。
例えば「ありがとう」「いつもよくできているので」「〇〇さんしかできない」という具合です。

またその仕事が組織にとってどんな意味があるのか、リーダーがこれを示すことで、メンバーのやる気とプライドを引き出すことができます。

目的が見えない、ただの「作業」を任されて、そこにやりがいとかプライドを感じられるかと言えば、それは確かに難しいです。
目的こそが人を動かす原動力となるのです。

仕事を任せた後のフォローも必ず行います。

具体的には「依頼した仕事がどのように役に立ったか」を、感謝とともに伝え、かつフェアな評価を行います。

「フィードバック」「感謝」「評価」の3セット、ここまで行うことで「ただの仕事の丸投げ」ではなく、「メンバーの成長につながる丸投げ」になるのです。

そしてリーダーは、メンバーの成長を自分のことに喜べる人であること。
感謝されなくても、注目されなくても、メンバーの成果と成長を静かに眺める。
そんな「空気のようなリーダー」をめざしましょう。

 *    *    *    *

組織の主役はリーダーだと思っていましたが、そうではなかった。
主役は各メンバーで、リーダーはあくまでもサポート役なんだと、この本を読んで理解しました。

著者である山本さんは、この本の中で
「チームではリーダーである自分が主役で、メンバーはサポート要員だと、勘違いしていた」
と書かれていますが、そんな「勘違い」をしているリーダーは、残念ながら少なくないように思います。

リーダーとは、メンバーの人となりを把握して、メンバーがもつ能力を最大限生かせる人。
メンバーと真摯に向き合い、メンバーの成長を心から喜べる人。

そんなリーダーのもとで働けたら、幸せだろうなと思います。

組織のリーダーとして不安や迷いがある方、いえ、それ以外のリーダーの方にもぜひ読んでいただきたいおすすめ本です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。