社会保険労務士試験でほぼ必ず出題される障害基礎年金と障害厚生年金。
障害年金をもらうためにはどんな要件を満たせばよいのか、そのポイントをおさえておきたいですね。
障害年金の実務を知りたいときに役立つ私のおすすめ本もご紹介します。

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障害年金は「初診日要件」「障害認定日要件」「保険料納付要件」の3つの要件を満たして初めて支給されます。
障害基礎年金と障害厚生年金のちがいと、私が「コレ間違えやすいな」と思ったところをまとめました。

初診日要件

【障害基礎年金の初診日要件】
「初診日」に、次の①②のどちらかに該当している必要があります。
①国民年金の被保険者
②国民年金の被保険者であった者で、60歳以上65歳未満の国内居住

☆要注意ポイント☆
○65歳未満でも老齢年金の繰上げ支給を行っている場合は該当しないので、要注意です。
これは支給の繰上げにより「65歳に達している者」と同様にみなされてしまうからですね。

○60歳以上の在外邦人は該当しないのでしょうか。
→ 65歳未満で国民年金の任意加入中に「初診日」があれば該当します。

○被保険者ではない20歳前に初診日がある場合は「20歳前の傷病による障害基礎年金」の対象になり、障害基礎年金が支給されます。
この場合、保険料納付要件は不要です。


【障害厚生年金の初診日要件】
「初診日」に、厚生年金の被保険者であったこと。
これだけです。年齢は問われません。

障害認定日要件

障害基礎年金、障害厚生年金のどちらも、初診日から起算して1年6カ月を経過した日(その期間内に傷病が治ったときは治った日)が「障害認定日」です。
この日に一定の障害状態(障害基礎年金は障害等級1、2級、障害厚生年金は1~級)に該当している必要があります

☆要注意ポイント☆
○「20歳前の傷病による障害基礎年金」の障害認定日は、20歳に達した日です。
ただし初診日から起算して1年6カ月経過した日が、20歳に達した日より後の場合は、初診日から起算して1年6カ月経過した日が障害認定日となります。

○初診日に20歳未満でも、国民年金2号被保険者(厚生年金の被保険者)だった場合は「20歳前の傷病による障害基礎年金」ではなく、原則の障害基礎年金が適用されます。
原則の障害基礎年金が適用された場合は、障害認定日が20歳前のケースもありえます。

保険料納付要件

「保険料納付要件」は障害基礎年金と障害厚生年金のどちらも全く同じ内容です。

初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、初診日の前日において、次の①②のどちらかを満たす必要があります。

①初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上であること。
②(初診日が令和8年4月1日より前である場合は)初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
※ただし②は、初診日において65歳以上の者には適用しません。

☆要注意ポイント☆
〇国民年金第2号被保険者(厚生年金被保険者)としての20歳前と60歳以降の期間は、老齢基礎年金では「合算対象期間」とされますが、ここでは「保険料納付済期間」として扱います。
※これ以外の合算対象期間は、ここでは被保険者期間から除かれます。

〇「20歳前の傷病による障害基礎年金」では、20歳に達した日(または障害認定日)には障害等級1、2級より軽度の障害だったとしても、その後重症化して障害等級に該当する程度の障害の状態になった場合は、65歳前に請求することで受給権が発生します。
(「事後重症型」といいます。)
この場合でも、保険料納付要件が問われることはありません。
※ただし、所得制限が設けられているなど、支給停止要件が原則の障害基礎年金と異なるので、そこは要注意です。

障害年金のおすすめの本

障害年金制度は一般的にあまり知られていないため、後からこの制度を知って請求手続きをしようとされる方が少なくないそうです。
しかし初診日から時間が経過していると、3つの要件を満たしていることを証明するのが難しかったり、時効(5年)でもらえなかったりするケースもあるとのこと。

社労士試験をめざしていない方でも、特に会社の総務や人事を担当している方には障害年金制度についてぜひ知っておいていただきたいと思いました。

障害年金の特に実務についてとてもわかりやすく書かれた本をご紹介します。
「これならわかる〈スッキリ図解〉障害年金」(著者:松山 純子さん)です。


私も会社の同僚のご家族の方が長い期間にわたり闘病されていることを知って、ご迷惑かもと思いつつ障害年金制度のことをお伝えしたのですが、そのときにこの本がとても役に立ちました。

実際に障害年金を請求することになった場合のことを考えて、事前にどんな書類を用意しておくべきか、また準備しておくことの重要性についてもよくわかる本です。

ぜひ参考にしてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

投稿者

ひよこ豆

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