会社員が副業したときの社会保険について、これまで①アルバイトをした場合と、②他社の役員になった場合に、それぞれどうなるのか?について書いてきました。
今回は、会社員がフリーランスを兼ねるときの社会保険について確認します。
社会保険労務士試験対策として、各法の横断的な学習ができることも意識してまとめました。
また、法改正部分もありますので、令和7年度の社会保険労務士試験で出題される可能性も高いです。
法改正の内容もしっかり確認しておきましょう!
※法改正についてはこちらの記事にまとめてあります。
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法改正いろいろ。令和7年度社労士試験(※随時更新)
※こちらの記事もぜひお読みください。
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副業する(させる)ときのポイント③会社員が副業でアルバイトするときの社会保険
副業する(させる)ときのポイント④会社員が起業したときの社会保険
(2)副業でフリーランスになった場合
会社員が副業する場合、最も多いのがフリーランスになるパターンではないでしょうか。
フリーランスとは(厚生労働省のパンフレットによると)
「業務委託(請負契約または委任契約・準委託契約)により仕事の依頼を受けた個人(法人化した者も含む)のことをいいます。」
とありますが、ちょっとわかりにくいです・・・(-_-;)
社労士試験の範囲外ではありますが、簡単に確認しておきましょう・・・
請負契約は、発注者から依頼された仕事を受注者が完成させ、成果物を納品することで報酬が発生する契約のこと。
【例】システム開発やWebサイト制作、マイホームなど建物の建築、荷物の配送など
委任契約・準委任契約は、発注者から委託された業務を受注者が遂行することに対して報酬が支払われる契約のこと。このうち
・委任する業務が法律行為であれば「委任契約」
【例】訴訟代理人を弁護士に依頼、不動産の名義変更登記を司法書士に依頼、所得税の確定申告を税理士に依頼するなど
・委任する業務が法律行為以外の業務であれば「準委任契約」
【例】医師に診療を依頼、コンサルティングサービスをコンサルタントに依頼するなど
いずれも委任者から指揮命令を受けることはなく、就業時間・場所の拘束を受けないので、会社員にとっては理想の副業かもしれません。
ただし、会社員に専門的なスキルがあり、そのスキルに対する需要があることが前提となるので、成功するためのハードルは高そうです。
また労働者ではないので、労働基準法等に基づく保護を受けません。
では、各保険制度への加入はどうなるかといいますと・・・
①健康保険・厚生年金保険
フリーランスは健康保険・厚生年金保険の被保険者となりません。
したがってフリーランスを副業とする会社員は、本業での社会保険(健康保険・厚生年金保険)のみ加入するということになります。
ちなみにフリーランスを副業ではなく本業とする場合は、国民健康保険と国民年金に加入します。
この国民健康保険には、健康保険(協会けんぽや健保組合、共済組合)で支給される「傷病手当金」が原則ありません。
「傷病手当金」は、業務外のケガや病気の療養のために出勤できず、給与が支払われない場合に所得補償として支給されるもの。
社労士試験用のテキストなどでは、傷病手当金は国民健康保険法では「任意給付」となっていますが、実際には給付が行われていないのですね。
ただし国民健康保険組合(土木建築、理容、美容、芸能人、弁護士、医師、薬剤師などの業種で設立)では、業種により支給される組合もあるようです。
②労災保険・雇用保険
既に書いたとおり、フリーランスは労働者ではないので、労災保険・雇用保険は対象外となります。
ただし労災保険については、中小企業事業主や一人親方、特定作業従事者、海外派遣者が任意に加入できる「特別加入」という制度があり、これに加入することで仕事中や通勤途上でのケガや病気などに対して補償を受けることができます。
そして令和6年11月から、特別加入の対象者が拡大され、上記に該当しない全てのフリーランスが特別加入できることになりました。
ここは特に社労士試験受験生の方、ぜひおさえておきましょう!
なお、この場合の特別加入の手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体が行います。
保険料は、他の特別加入の場合と同様で加入者が負担します。
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働き方が多様化し、フリーランスとして働く方が増えているようですね。
ただ、実態としては委託事業者から就業場所や時間が決められているなど労働基準法上の「労働者」に該当する働き方をしているにもかかわらず、名目上は自営業者としてて扱われ、労働基準法等に基づく保護が受けられないといった問題も指摘されているようです。
「もしかして、自分も・・・?」と思った方は、厚生労働省の「働き方の自己診断チェックリスト」を活用するなどして、確認してみましょう。
今日もおつかれさまでした( ^^) _旦~~
最後までお読みいただき、ありがとうございました。