会社員が副業したときの社会保険について、前回は副業でアルバイトをした場合の社会保険について書きました。

今回は、会社員が起業した場合の社会保険についてです。

社会保険労務士試験対策として、各法の横断的な学習ができることも意識してまとめました。

また社労士試験対策としてだけでなく、社労士として開業する場合のことも考えて、ここはしっかり確認しておきたいですね。

※副業でアルバイトをした場合の社会保険については、こちらの記事をご覧ください。
 ↓
副業する(させる)ときのポイント③会社員が副業でアルバイトするときの社会保険

(2)副業で法人の役員になった場合

会社員が副業として法人を立ち上げ、その役員になるということも考えられます。

労働基準法では、法人の代表者または役員(取締役など)は、事業主体である法人との関係において「使用従属の関係に立たない」者は、労働者ではないとされています。
(ただし、同時に会社の部長や支店長、工場長などの職にあって、賃金を受ける場合は労働者性があるとされますので、ご注意ください!)

では各保険制度への加入はどうなるかといいますと・・・

①健康保険・厚生年金保険

健康保険・厚生年金保険では、法人から労務の対象として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者となります。

一方、個人事業主は、「自分に雇用される」という形は想定できないため、被保険者となりなりません。

保険者を決める

被保険者としての要件に該当し、副業先でも社会保険に加入することになったときは、副業労働者は10日以内に本業と副業のどちらの保険に加入するかを決めて、協会けんぽに加入するときは日本年金機構に、健保組合加入するときは健保組合に届書を提出します。
保険者が本業と同じ場合は、「年金事務所の選択の届出」または「2以上の事業所勤務の届出」が必要です。

標準報酬月額の算定方法

副業労働者の標準報酬月額(社会保険料算定の基礎なる給与の月額)・賞与額は、本業、副業それぞれの会社での給与を合算した額をもとに決定されます。

そしてこの合算額に対する本業、副業それぞれの会社が支払った給与の割合に応じて、それぞれの会社が納付すべき保険料が決まります。

保険者は、副業する本人が選んだほうになりますが、保険料の負担は本業、副業双方の会社が負担するというわけですね。

被保険者なのに健康保険給付が受けられない?

ところで、たとえ被保険者であっても、法人の役員としての業務が原因でケガをしたときは、健康保険からの給付が受けられないことはご存じでしょうか?

これは被保険者またはその被扶養者が法人の役員である場合の特例なのです。

「業務中のケガであれば、労災の給付を受けられるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、労災保険は「労働者」のためのもの。
労働者ではない法人の役員は、労災保険の対象外です。

つまり、法人の役員としての業務が原因でケガをしたときは、自費となるのです!

ただ例外があって、被保険者の人数が5人未満の事業所に使用される法人の役員で、かつ一般の従業員と同じ業務に就いている場合には、業務が原因で負傷・疾病・死亡については健康保険からの給付が行われます。

②労災保険・雇用保険

既に述べたように、法人の役員は労働者ではないので、労災保険・雇用保険は対象外となります。
ただし労働者性が強い場合には、雇用保険の被保険者となります。
この場合でも、代表取締役(代表権を有する者)については被保険者となることはありません。
これは(代表取締役が被保険者とならないことは)、健康保険・厚生年金保険と扱いが異なる点ですので、要注意ポイントですね。

次回は、副業で個人事業主(フリーランス)となる場合の社会保険について確認します!

今日もおつかれさまでした( ^^) _旦~~

最後までお読みいただき、ありがとうございました。