努力をしているのに、成果が実感できない・・・
そんなふうに感じていたら、努力する方向を変えてみる必要があるかもしれません。
自分の成長を止めてしまっている「壁」の正体を知り、その壁を克服するのに最も有効な「技法」を実践できれば、すぐに効果を実感できるはずです。
ただやみくもに知識を増やすための読書を続けても、「できる人」になれるわけではないのです。
前回のブログに引き続き、今回も「成長を止める七つの壁」と「壁を超える七つの技法」について書きます。
※前回の記事はこちら。
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なぜ、いくら本を読んでも仕事につながらないのか?
「成長の技法~成長を止める七つの壁、壁を超える七つの技法~」(著者:田坂広志さん)

この本の著者は、大学院で博士課程取得後、民間企業に就職。
最初の配属先はこれまでの研究とは畑違いの、法人相手の企画営業の部署でした。
そこで著者は、実務経験豊富で優秀な同僚に早く追いつくために
「どうすれば職業人として高い能力を身につけることができるか、日々の仕事をとおしてその技術や心得を研究しよう」と考え、実践したのだそうです。
著者の実体験に基づいているからなのでしょう。
この本に書かれてある内容は、抽象的な一般論ではなく、「成長を止める7つの壁」の正体と、これを克服するための「7つの技法」を実践する方法が、非常に具体的でわかりやすく書かれてあります。
この本による「7つの壁」と、それを克服する「7つの技法」のうち、初めの3つまでは前回の記事で書きましたので、今回は4つめの「壁」と、それを克服する「技法」から。
④我流の壁 → これを克服するには「私淑の技法」
仕事の仕方を見ると器用でもあり、優秀なのですが、仕事の基本を身につけていないため、危うさを感じるタイプの人がいます。
このタイプの人は、何かトラブルが起きたときに正しく対処することができず、問題の解決に至りません。
これに対して一流のプロフェッショナルは、仕事の基本を身につけているため、見ていて安定感があるのです。
実は基本的なことこそ、「人」からしか学べないのだそうです。
マニュアル本を読んで学べることには、限界があるということですね。
まずは周囲の優れたプロを見つけ、心の中で「師匠」と思い定めて、徹底的に真似ること。
真似ることを通じて、次第に自分らしいスタイルが身についてくるのだそうです。
⑤人格の壁 → これを克服するには「多重人格の壁」
優れたプロフェッショナルは、その立場が変わるたびに自分の中に様々な人格を育て、それらを状況によって使い分けているのです。
これに対して、状況に合わせた柔軟な対応ができないのは、1つの人格しか身についていないから。
1つの人格で対応するほうが、楽なのです。
しかしそれでは、優れたプロフェッショナルにはなれないのです。
人格を使い分けるには、精神的なタフさが必要です。
プロフェッショナルであるためには、この精神的なタフさを身につけることが必須というわけですね。
人格の壁を克服するためには、仕事中やプライベートなどで自分が今、どんな人格で取り組んでいるかを意識する。
そして、仕事で必要な人格であるが自分の中にまだ十分に育っていない、という人格があれば、意識してその人格を育て、それを仕事の中で表に出していくことをこころがける。
これが「多重人格の技法」です。
すぐにでも実践できそうですね。
⑥エゴの壁 → これを克服するには「自己観察の技法」
仕事をするうえで「エゴ」は、ときに過度の嫉妬心や競争心という形で私たちを振り回し、チームワークを乱したり人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば自分よりも同僚の方が、上司に評価されていると感じたとき、誰もが嫉妬心を覚えるでしょう。
このとき大事なことは、エゴを無理して抑圧しないこと。
なぜなら、エゴは人の心の中にあるのが自然なので、無理して抑圧し、失くそうとしても消えることはないのです。
だから大事なことは、自分の中のエゴを、肯定も否定もせず、ただ静かに見つめる。
こうすることで、自分を見つめる「静かな観察者」、つまりもう一人の自分が心の中に育つのだそうです。
静かな観察者として冷静に自分を見つめることで、感情に振り回されない成熟した精神を身につけることができるのです。
「静かな観察者」を育てるには、前回の記事で書いた「反省の技法」の実践、つまり深夜の反省日記を書くことで自分の心の動きを見つめることが、とても有効なのだそうです。
この本を読んで、私も「反省日記」をつけることを習慣にしました。↓
まだ始めたばかりですが、その効果を実感しています。

⑦他責の壁 → これを克服するには「引き受けの技法」
失敗の原因を外に求めてしまう人。
「私のせいではない」という言葉がすぐに浮かぶ人。
何か大きな失敗やトラブルが起きたとき、その現実を受け止めず逃げてしまっては、人として、プロフェッショナルとして成長の機会を失ってしまい、成長が止まってしまいます。
自分に原因があっても無くても、全ての問題を自分が引き受け、心の中で責任を取る。
何が原因であったのか、自分の姿勢はどこが問題だったのか、これらを深く考えることによって人は成長できるのです。
著者は「逆境だけが飛躍のチャンスを与えてくれる」と述べています。
このように考えると、逆境とは不幸なもの、不運なものではなく、私たちを成長させてくれるものと捉えることができます。
この考え方ができるかどうかで、人の成長に大きな差がつくのだそうです。
* * * *
努力が自分の成長につながっていると実感できたら、毎日が変わります。
自分に自信を持てるようになり、仕事への向き合い方も変わります。
人はいくつになっても成長できるのだそう。
私もすでに50半ばの身ですが、成長するための努力はこれからも続けていきたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。