相続税の最高税率は、なんと55%!
何も対策しなければ、せっかく築いた財産の多くを相続税として納めることになり、遺された家族は高額な相続税の支払いに苦しむ、なんてことになりかねません。
でもこの相続税、生前に対策しておくことで、大きく軽減できるのですよね~
今回は、相続税の節税対策として有効な方法を調べてみました。

※相続税対策については、色々な本を参考にしましたが、特におすすめなのは
「損しない!まるわかり相続大全」(著者:秋山 清成さん)
とてもわかりやすく、巻末の終活ノートも秀逸でした!
有効な相続税対策あれこれ
相続税対策として有効な方法や制度を調べてみると、以下のとおり、実に色々あるんですね。
①生命保険に加入
②年110万円までの暦年贈与
③相続時精算課税制度
④住宅取得資金等の贈与
⑤教育資金の一括贈与
⑥おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)
⑦小規模宅地の特例
⑧配偶者の税額軽減
⑨相続税の障害者控除
⑩墓地の購入、家の補修など
今回の記事では、このうち①~③について書きます。
①生命保険は節税以外にも大きなメリットが
生命保険の活用は、相続税対策の中でも、最もお手軽で確実な方法。
はっきり言って、多額の相続税を納める可能性がある方は、やらなければ損です。
まずは生命保険の契約のしかたがポイント。
相続税を節税するためには、自分を被保険者(=保険の対象となる人)、契約者(=保険料を支払う人)として、お金を渡したい配偶者や子(相続人の資格がある人)を受取人として契約します。
これによって「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が生まれます。
例えば被保険者に「妻と子2人」がいる場合、死亡保険金1,500万円までを非課税で受け取ることができるのです!
また生命保険には、節税以外にも大きなメリットがあります。
それは、
・遺言を書かなくても、お金を渡したい人に確実にお金を渡せる。
・生命保険の死亡保険金は、遺産分割協議を待つ必要がなく、早い時期に受け取ることができる。
保険商品は「一時払い終身保険」が良いそうで、これを取り扱う保険会社はたくさんあります。
ネット情報によると、日本生命、住友生命、明治安田生命の終身保険は、加入年齢の上限が90歳となっていました。
これ以外の保険会社で取り扱っている保険商品も、その多くが80歳以上でも加入できるようです。
生命保険の保険契約は、意思・判断能力喪失後はできません。
認知症などになる前に、生命保険契約を忘れずにしておきたいですね。
②110万円までの暦年贈与
贈与税には相続税以上に高額な税金がかかりますが、年間110万円の基礎控除があります。
つまり、贈与された額が年間110万円までなら非課税、税務署への申告も不要です。
このしくみを利用して、例えば親が子2人に毎年110万年ずつ、10年にわたり生前贈与した場合、2,200万円までの財産を贈与税0円で子に移転できるのです。
相続税の節税効果は抜群で、まさに「相続税対策の王道」と言えますね。
ただし以下の点に、要注意です。
・親が管理している「子」名義の口座に親の財産を移しているだけでは、正式な贈与と認められず、税務署から「名義預金」と判断されて思わぬ税金を払うことになります。
そこでこれを避けるため、あえて110万円を超える贈与、つまり111万円の贈与をして申告をし、1,000円の贈与税を納めることで「贈与である」という証拠を残す手法を勧めている対策本などもありますが、どうやらそれは間違いのよう。
税金の申告や納付は本人以外でも簡単にできてしまうため、税務署は税の申告を証拠とは認めていないそうです。
・相続発生前7年以内に行った贈与は、故人の相続財産に加算して相続税を計算するルールがあります。
つまり、亡くなる8年前までに生前贈与しておかなければ、相続税の節税対策とはなりません。
相続税対策として暦年贈与をするなら、1日も早くスタートしましょう!
・当然ですが、本人が認知症などで意思・判断能力が不十分となってからの贈与は「無効」とされる可能性が高いです。
③相続時精算課税制度を利用する
相続時精算課税制度とは、60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫に贈与する場合、税務署に届け出ることで2,500万円までの贈与が非課税となるというもの。
ただし贈与を行う際には非課税ですが、相続が発生した場合に、過去の贈与分を故人の相続財産に加算して相続税を計算します。
このとき、年間110万円までの贈与部分は、相続財産に加算されません。
②の暦年贈与とよく似ていますが、相続時精算課税制度には、贈与額に2,500万円という上限があります。(暦年贈与は上限額なし。)
また暦年贈与では、相続発生前7年以内に行った贈与は相続財産に加算される(相続発生前3年以内の贈与は全て相続財産に加算。相続発生の7~4年前の贈与は、総額100万円までは相続財産に加算されない)のに対し、相続時精算課税制を選択した場合は、たとえ7年以内に行った贈与でも、年間110万円までなら相続税に加算されません。
相続時精算課税制度と暦年贈与の併用はできず、相続時精算課税制度を選択した場合、それ以降は暦年贈与が使えなくなるため、どちらにするかはよく考える必要があります。
では果たして、どちらがおトクなんでしょうか?
暦年贈与と相続時精算課税制度 どちらがおトク?
例えば贈与したい本人が現在、高齢や病気などで体調に不安がある場合には、相続時精算課税制度を選択するほうが、総合的な税負担は軽いかもしれません。
仮に相続発生までの10年間毎年贈与する場合、暦年贈与では、年間110万円の非課税枠を利用できるのが初めの3年間だけだった、という結果になってしまうからです。
つまり、贈与する年数が長くとれる場合は、暦年贈与のほうが節税という点では有利、ということでしょうか。
でも、暦年贈与では年間110万円を超える部分は「贈与税」がかかり、相続時精算課税制度では年間110万円を超える部分は相続財産に加算されて「相続税」がかかるので、結果的にどちらのほうが税金が安くておトクなのか、専門家の方でなければ比較するのも難しいですね。
ここはやはり、専門の税理士さんに相談したほうが良いように思います。
この続きは、また次回に書きますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。