障害補償年金・一時金受給者の障害の程度が重くなった場合、給付の額が増える場合と増えない(変わらない)場合があり、ややこしいです(>_<)
私も独学で社労士試験の勉強をしているときは、理解するのに苦労しました。
でも考え方のポイントがわかれば、大丈夫です!
障害補償給付が変更されるとき
障害の程度が重くなる原因を、次の2つに分けて考えます。
1つ目は、「自然経過的」に増進して重くなった場合。
2つ目は、「再発」によって重くなった場合。
この2つに分けて考えるのは、障害等級の変更の根拠となる条文がその原因によって異なるためです。
(1)自然経過的に悪化した場合
障害の程度が「自然経過的」な悪化の場合は、法第15条の「障害の程度の変更」にあたり、障害補償年金受給者(障害等級第1~7級)の給付額が改定され、新たな障害等級に応じた障害補償年金または障害補償一時金が支給されます。
この改定は、障害の程度が重くなった場合と軽減した場合にも行われます。
なお、障害補償一時金を受けた者(障害等級第8~14級)は対象外なので、要注意です!
一時金を受けた段階でその障害に対する補償は全て終わっていると考えられるため、障害の程度が「自然経過的」に重くなったとしても、新たな給付を受けることはないのです。
参考までに、条文を掲載します。↓
(法第15条の2)「障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない。」
(2)再発により悪化した場合
障害の程度が傷病の「再発」により悪化した場合は、加重障害の規定により処理されます。
この場合は、障害補償年金受給者だけでなく、障害補償一時金を受けた者も、加重の対象となります。
※「再発」とは
再発とは、業務上又は通勤による傷病が一旦治ゆした後、再び発症し、次の3つの要件をいずれも満たす場合をいいます。
①後遺症状の悪化が、当初の業務上または通勤による傷病と相当因果関係があると認められること
②治ゆ時の状態からみて明らかに症状が悪化していること
③療養を行えば、その症状の改善が期待できると医学的に認められること
一時金と年金とで処理方法は異なる
障害補償一時金を受けた者の傷病が再発した後再治ゆした場合に、障害の程度の変更があるときは、加重障害の規定により差額が支給されます。
一方、障害補償年金受給者が再発すると、「治ゆ」の状態でなくなるため(※)当該年金を受ける権利は消滅します。
(※障害補償給付は「治ゆ(=症状固定)していること」が支給の要件です。)
その後再治ゆした場合は、新たな障害等級に応じた障害補償年金または障害補償一時金が支給されます。
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障害等級の変更にあたるのか、加重障害となるのかの判断に迷ったときは、その障害の悪化の原因が「自然経過的」なのか「再発」なのかを確認しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。