業務災害によって加重障害が生じたうえ、他の部位にも障害が残ってしまったら?
この場合の障害等級と障害補償の額について、社労士試験の過去問を解きながら確認します。

令和4年度社会保険労務士試験の選択式試験問題から。

〔問〕業務災害により既に1下肢を1センチメートル短縮していた(13級の8)者が、業務災害により新たに同一下肢を3センチメートル短縮(10級の7)し、かつ1手の小指を失った(12級の8の2)場合の障害等級は[ A ]級であり、新たな障害につき給付される障害補償の額は給付基礎日額の[ B ]日分である。
なお、8級の障害補償の額は給付基礎日額の503日分、9級は391日分、10級は302日分、11級は223日分、12級は156日分、13級は101日分である。

[ A ]と[ B ]に入る最も適切な語句は、以下の①~⑧のうちどれでしょうか?

①8
②9
③10 
④11 
⑤122 
⑥201 
⑦290 
⑧402

〔考え方〕

社労士試験では、障害等級の併合については事例で出題されますので、対策は必須です。
私も理解していたつもりですが、加重と併合を同時に行うケースは想定外で、本試験では✖でした。
どう考えれば良いのでしょうか。

結論からいいますと、次のように考えます。

①初めに、加重後の障害等級を定めます。
②次に他の部位に生じた新たな障害の等級を定めます。
③最後に、①と②の障害等級を併合(繰上げ)します。これにより障害等級が決まります。
④障害補償給付の額は、併合後の障害等級に応じた額から、加重前の障害等級に応じた額を差し引いた額となります。

これを、問題文にあてはめて考えます。

①1下肢に生じた加重後の障害等級は、10級の7。

②新たな部位の障害等級は、12級の8の2。

③10級と12級の障害が残った場合、重い方の障害等級を1級繰り上げて、9級となる。

④障害補償給付の額は、現在の9級の「391日分」から、加重前の13級は「101日分」を差し引いた「290日分」となる。


〔答〕
[ A ] ②9
[ B ] ⑦290

障害等級の併合の基本

2以上の障害が残った場合の障害等級の決定については、完璧に覚えておきましょう!

○1つの障害を除いた他の全ての障害の等級が第14級のときは、重い方の障害等級となります。
○第13級以上の障害が2以上あるときは、重い方の障害等級を1級繰り上げます。
○第8級以上の障害が2以上あるときは、重い方の障害等級を2級繰り上げます。
○第5級以上の障害が2以上あるときは、重い方の障害等級を3級繰り上げます。

※第9級と第13級を併合(繰上げ)する場合だけ、合算額(492日分)を支給します。第8級を支給するのではありませんので、要注意です!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。