自分にもしものことがあったとき、残された人がどんなに困ることになるか。
このことを知ってから、終活について真剣に考えるようになりました。
「終活」という言葉は知っていても、実際に準備しているシニアの方は、それほど多くないのではないでしょうか。
終活をネットで検索すると
「残りの人生を自分らしく過ごすためのもの」
「人生の最後をより豊かに過ごすためのもの」
など、終活のイメージアップをはかるためのキャッチフレーズも目につきます。
でもこのキャッチフレーズを見た人が
「自分らしく生きられてるから大丈夫」
「自分は豊かな人生を過ごせているので心配ない」
と感じてしまったら、残念。
このキャッチフレーズでは、終活の本当の必要性が伝わらないような気がするのは私だけでしょうか。
「終活」は本来、自分の人生の終焉間近や死後に起こるであろう問題を想定して、誰も困らないよう準備しておくためのもの。
自分のためでもありますが、それ以上に自分の家族や大切な人、自分に手を差し伸べてくれた人達のために行うもの、と言えるのではないでしょうか。
終活で考えるべきことはこんなにある

終活の重要性は、自分の老いを想像してみると、わかりやすいですよね。
例えば、自分が老いたとき、
①体力、判断力が低下して、できないことが増えてくる。
②病気などで入院が必要になる。
③認知症が進行して、退院後も介護が必要になる。
④やがて、この世とお別れするときがやってくる。
以上の①~④の状況で、おひとりさまや、家族がいても頼れない場合は、どんなリスクがあって、どんな対策が可能でしょうか。
①の体力、判断力が低下した場合は、
・悪徳訪問業者に狙われる。
・急に倒れて身動きできなくなる。
などのリスクがあります。
→対策として、定期的な連絡・訪問での安否確認のための「見守り契約」と、入院することになった場合の「身元保証契約」を結ぶ、という方法があります。
②の入院が必要になった場合は、入院時の手続き、入院中の公共料金などの支払い、年金や保険などの手続きをしてくれる人がいなくて、入院の手続きができないリスクがあります。
→対策として、必要な支払いや手続きを代行してもらう「財産管理委任契約」を結ぶ、という方法があります。
ただし、これは自由契約になるので、信頼できる人に頼む必要があります。
また、金融機関によっては、この契約による代行に対応してくれない場合があるので、注意が必要です。
③の認知症が進行した場合は、認知症のため重要な契約行為(不動産売買)や財産の管理が自分でできなくなり、自力での日常生活が困難になるリスクがあります。
→対策として、財産管理や療養看護を代理で行ってもらう「任意後見契約」を、自分が元気なうちに結んでおく、という方法があります。
④自分が亡くなった場合は、病院代や施設代の支払いや、膨大な死後事務を誰かに託しておく必要があります。
死後事務を、国や自治体が行政がサービスの一環として行ってくれると思っている方も、少なからずいるようですが、それはちがいます。
自治体が行うのは、身寄りのない方の火葬など一部の手続きのみ。
遺体の搬送、死亡届の提出、火葬許可証の取得、通夜・葬儀の手配、健康保険の資格喪失、銀行口座など預貯金の確認、相続の準備、家財・荷物の処分など、膨大な死後事務をどうするか、生前に関挙げておく必要があります。
もちろん、これらの事務を行うための費用など、お金のことも考えておく必要があります。
→対策として、「遺言」「遺言執行者の選任」と、「死後事務委任契約」を結んでおく、という方法があります。
ただし「死後事務委任契約」を結ぶ場合は、注意が必要です。
過去に、死後事務委任を受任し、預託金を預かっていた公益財団法人が破産するという事件がありました。
業務上横領や、中途解約したときに返金されないといったトラブルも考えられます。
専門家の方に相談するなどして、慎重に考えたいですね。
ところで、実際にはこれらの膨大な事務を、家族が善意で引き受けているケースが圧倒的に多いわけです。
でも改めて考えると、相当の負担であることは間違いありません。
特に死後事務に関しては、遺言書がない、どの金融機関に口座があるのかわからないといった場合は、その負担がさらに重くなります。
終活は、これらの負担を軽減するためのものでもあるわけですね。
一方でこれらのことを家族に頼らず、全て第三者との契約で行おうとすると、判断能力もある今のうちから準備しておく必要があります。
また、第三者に依頼する場合は、契約金としてかなりの金額を支払うことも覚悟しておかなければなりません。
終活は、全ての人が考えるべき
こうして考えると、終活は財産のあるなしに関係なく、全ての人に必要だということがわかります。
誰もが必ず、いつかは亡くなるわけですからね。
まだ若くて健康なうちは、自分の老後のことなんて考えたくないですが、終活の準備は、早ければ早いほど良いというのが実感です。
これからも終活について勉強し、有益な情報をブログに書いていきたいと思います。
シニアの皆さんが、終活について考えるきっかけになってくれると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。