タイトルに惹かれて思わず手にした本。
知りたいですよね。
最短でお金持ちになる方法。
「THE PATH 一生お金に困らない最短ロードマップ」
(著者:ピーター・マローク アンソニー・ロビンズ)
お金に関する本はたくさん読んでいて、これもよくありがちなFIRE(経済的自立と早期退職)本かと思ったら、そうではありませんでした。
この本では人が投資で判断を誤ってしまう心理、世界が危機や苦境に直面していると思わされている(実際のところ未来は明るい)という現実、幸福とはなにか、幸福追求のためのお金との関わり方の提案など、「知って良かった!」と思えたことがたくさんありました。
ここでその内容の一部を紹介します。
経済的自由を手に入れる方法
経済的自由を手に入れるための方法が、本の初めに早くも示されています。
それは
「アインシュタインが人類最大の発明と呼んだ『複利』の効果をうまく活用し、資産を形成すること」
つまり、複利効果を最大限生かして投資する(し続ける)ことが、経済的自由を手に入れるための最も有効な方法だということです。
これはよく知られている方法ですが、なぜ多くの人々は経済的自由を手に入れられないのでしょうか。
それは、その方法を知っていても実践しないから。
なぜ実践しない(できない)のか?
そもそも人の脳は、過ちや命を脅かすものに注意を促すようにできており、「確実性」を何よりも重視する傾向があるのだそう。
生き残るための本能ですね。
投資は貯蓄と異なり、明日には大暴落して資産が半減してしまうかもしれないという不確実性をもつものなので、多くの人は投資することに躊躇してしまう。
また投資家も、市場が不安定になると先行きが見えない「不確実さ」への不安から感情をコントロールできなくなり、大きな判断ミス(市場が不安定な時に売ってしまい、タンス貯金にするなど)をおかしてしまうもの。
ではそうならないために、何が必要なのでしょうか。
本書では、優れた投資家に必要なのは「不確実性を受け入れるスキル」だとしています。
そういえば、史上最高の投資家といわれるウォーレン・バフェットの言葉にこんなのがあります。
「投資というビジネスでは高いIQは必要ない。
必要なのは安定した人格だ。
世間と足並みそろえることや世間に逆らうことに大きな喜びを感じたりしない気質が必要だ。
世論調査をするビジネスではないのだから。」
市場が不安定なときでも、世論に惑わされずに平静でいられるスキルを持つことが、経済的自由を手に入れるためには必要だということですね。
不安をあおるストーリーに注意
人類の未来は明るい。
それは生計費、寿命、世界中の人々の幸福度、貧困、教育の分野でのリサーチをもとにした統計によっても明らかにされています。
それなのに多くの人々が、世界が危機や苦境に直面しており、未来は暗澹としてると思い込んでいるのはなぜでしょうか。
それは私たちが日ごろ見聞きするニュースが、その一端を担っているのだそうです。
そもそも人の脳は、過ちや命を脅かすものに注意を促すようにできているので、危機感をあおるようなニュースのほうが人々の関心を引きやすく、視聴者を獲得できるというわけです。
だからニュースやワイドショーでは、恐怖や不安をあおるようなニュースをより多く流したり、事件をより劇的に報道する傾向があります。
金融や経済についても不安をかき立てるような観測が意図して報道されるため、投資家はパニック状態になって回避可能な失敗をおかしてしまう。
でも恐れに反して、市場はこれまでもずっと成長し続けているのです。
そしてこれからも、です。
正しい決断のために~私たちを動かく6つのニーズを知る~
人は年齢や居住地、社会的地位が異なっても、行動パターンはさほど変わりません。
人が行動するのは「6つのニーズ」が原動力となっているからだそうです。
そしてこれらのニーズは、良いこと・価値あることを追い求める力にも、破壊する力にもなりうる。
私たちがこれらのニーズにどう応じられるかが、充実した人生を送れるかどうかを決定するカギとなります。
その6つのニーズとは
①安定・確実性のニーズ
②多様性・自発性のニーズ
③自己重要感のニーズ
④愛・つながりのニーズ
⑤成長のニーズ
⑥貢献のニーズ
①安定・確実性のニーズ
生き延びるために安定・確実性のニーズは最優先事項ですが、経済的自由を追求する道のりでこのニーズが強すぎると、マイナス面に作用することもあります。
なぜなら投資はそもそも不確実なもので、ある程度のリスクは避けては通れないからです。
全てのリスクを避けることは、成功のチャンスを失うリスクにつながります。
自分のリスク許容度を知り、適度な安定・確実性を求めることが投資成功のポイントです。
②多様性・自発性のニーズ
変化にとんだ人生は豊かで楽しい。
様々な経験を積めば精神力が養われ、人生の困難を乗り越えることができるでしょう。
でも投資においてこのニーズが強すぎると、衝動的に大きな賭けに出てしまい、安定したリターンを失うリスクがあります。
また私生活でも変化を求めて転職や企業を繰り返すと、安定した地位や収入を失うリスクがあります。
安定した地位や収入は、失って初めてそのありがたみがわかるもの。
見過ごされがちですが、投資による資産形成には安定した収入が必要だということも覚えておきたい。
③自己重要感のニーズ
誰もが自分の存在は重要だと感じたい。
自分は価値ある人間で、他者の人生に影響を与えていると感じたい。
親として、パートナーとして、あるいは社会的な地位で自己重要感を覚えることで幸福度も高まります。
でもこのニーズが強すぎると、自己顕示欲の強い人間になってしまうリスクがあります。
自分を目立たせたい、周囲にアピールしたいという欲求から、不必要な物に散財して資産を減らしてしまったり、勧められるがままにハイリスクの商品を購入してしまう可能性があります。
自己肯定感を高めて、他者の評価に惑わされない自分を保つことが大切です。
④愛・つながりのニーズ
愛は誰もが望み、必要としているものです。
人とのつながりは、人生を豊かにし幸福度も高めてくれます。
でもこのニーズが強すぎると、孤独を避けるために誤った行動をとるリスクがあります。
義理のおつきあいに貴重な時間とお金を使い続けたり、お金やモノを与えることで相手の心をつかもうと(実際にはつかめない)してしまう。
子や孫を愛するあまり、必要以上の経済的援助をしてしまうこともあるかもしれません。
これは自分の資産を減らすうえ、愛する者の経済的自立の機会をも奪ってしまいます。
人は誰でも孤独であると知り、孤独を楽しめるスキルを持つことが大切です。
⑤成長のニーズ ⑥貢献のニーズ
成長することは生きること。
人生で自分の成長を実感できなければ、いくら物質的には豊かでも、真の喜びは得られないと、本書には書かれてあります。
充実した人生をおくる秘訣は与えること。
「手に入れた富、時間を、あなたの愛と知恵とともに他の人に分け与えることで、あなたが周囲の人たちにとって意味ある存在となり、それがまたあなたの人生に意味をもたらしてくれる。」
この本では、この2つ(成長のニーズと貢献のニーズ)を満たすことで初めて、本当の自由を獲得できるとしています。
いくら富だけを手に入れても、成長も貢献もせず、充足感を得られない人生を送ることになれば、それは成功ではないというわけです。
実際、巨万の富を築いた著者の知人は、頂点に達した後に成長することをやめてしまい、精神的に満たされない日々を送っているのだとか。
一方で著者自身は、著書からの利益(本書からの利益も全て)と個人資産の一部を寄付したり、経済的に困窮している人々に食事の提供を行うなどの活動をされています。
これは社会貢献というよりはむしろ、自分の成長の機会だと捉えているのだそう。
ふと、自力でコツコツと築いた全ての富を寄付した、本多静六さんのことを思い出しました。
※本多静六さんについての記事はこちら。
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億万長者の超シンプルライフ
負の感情との向き合い方
例えばインデックスファンドを購入した直後に、暴落が起きたら?
2024年7月に、私はまさしくそんな体験をしました。
あのときの気持ちは、とても一言では言い表せません・・・
不安、後悔、怒り、悲しみ、絶望。
人はこのような負の感情に苦悩してまう生き物です。
でも人生は短い。
意義ある人生を送るためには、苦悩の心の状態に生きたり、負の感情に流されないと心に決める必要があります。
私が幸福な人生を送れたかどうかは、私が毎日をどんな感情で過ごしたかで決まるのです。
まずは自分を支配する負の感情に気づくこと。
そして負の感情から、意識的に自分をそらすこと。
例えば怒りの感情に支配されそうになったら、自分に90秒間の時間を与えると良いそうです。
その90秒間の間に何か良いこと、自分にとって価値あることを考えて心の平穏を取り戻すのです。
どんな状況でも良いことやすばらしことは必ずあり、大事なことはそれを見つけようという意思を持つこと。
人間は生存本能から負の感情には敏感ですが、良いことやすばらしいことはそれを見つけようという意思がなければ気づけないものだそう。
特に「感謝の気持ち」が心の平静を保つために有効だそうです。
家族や友人、目の前にある景色、過去の出来事、何でもいいのです。
感謝は、苦難を乗り越えるための最善の対処法なのだそうです。
負の感情に支配されるのではなく、負の感情を支配する側になってコントロールできるようにする。
このスキルを高めれば、人生の質を高めることができるというわけですね。
これはすぐに実践できそう。
早速取り入れようと思いました。
幸福はお金で買えるのか
人生の幸福度は、年収やお金だけで決まるわけではありません。
それでも本書では、「幸福はお金で買える」。
ただしそれは、私たちが思慮深く、財産と賢く向き合えた場合という条件付きです。
お金には3つのメリットがあります。
①不安を軽減する
ある程度のお金があれば、経済的な心配や不安を抱えなくて済みます。
支払いのたびにストレスを感じなくて済むし、条件の悪い過酷な仕事を辞めることもできます。
お金で心の平穏を買うことができるというわけです。
②やりがいのある仕事に時間を費やす
お金があれば、好きなことに時間を費やすことができます。
やりたくはないがやる必要があること(家の掃除や庭の手入れなど)を、お金を払って他人に任せることで、限られた貴重な資源である時間を自分の好きなことに費やすことができるのです。
人間は本来、何かを追い求めて努力する生き物。
自分にとって意義あること、困難だがやりがいのあること、そして能力を発揮できることに従事するとき、人は最も幸福感に満たされるのだそう。
友人と愉快な時間を過ごすときの高揚感とは異なる、永続的な充足感や幸せを体験できるのです。
③思い出をつくる
愛する人と至福の時間を分かち合えること。
これがお金で買える究極の幸せです。
家族や友人と過ごす時間が、幸せに大きく貢献することがわかっています。
幸福度を高めるために、家族や友人との食事やハイキング、旅行にお金を使い、かけがえのない思い出をつくりましょう。
あなたが築いた富はあなたのために使おう
あなたが生涯かけて築き、守ってきた富をあなた自身のために使うこと。
そしてあなたの人生を楽しむこと。
上質なコーヒーを飲み、家族や友人との食事や旅行を楽しみましょう。
これをあなたが贅沢だと思って我慢しても、あなたの子がいずれ、あなたのお金を使って実践するでしょう。
倹約家の両親から遺産を相続した数日後に、新しい家や車を買った人を、著者はたくさん見てきたそうです。
最後に、著者からのメッセージ。
「あなたが必死に働き、蓄え、保管してきたお金は、あなたのものだ。
肩の力を抜いて、自分にとって意義あることにお金と時間を費やし、達成感や幸福を味わってほしい。
あなたが人生を謳歌することを、心から願っている」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。